2017.05.05
有名なガンジス川ともう一つヤムナー川が合流する町、アラーハーバード。 この町で12年に1回、クンブメーラと呼ばれるヒンズー教のお祭りが約2ヶ月間、開かれます。
通常は2kmほどの川幅が乾季ですと200メートルほどに狭まり、干上がったガンジス川の川底を中心に東京ドーム300個ほどの土地に、期間中1億人近い人がやってきます。 そう1億人です。 誤植ではありません。 そして、大沐浴と称して、3000万人が集まる日があります。 これは2ヶ月の期間中の参加者でなく、特別なたった1日に沐浴する人の数です。
約2ヶ月の期間中に6回の吉兆な沐浴日があり、その日に沐浴者は集中することになります。
なお、最も吉兆なのは、マウナ・アムヴァシヤと呼ばれる新月の日で、2013年は2月10日がそれにあたり、3000万人が一日で沐浴しました。
当番が沐浴したのは、そういう吉兆な日の一つであるヴァサンティ・パンチャミ(春新年の第5月齢日)と呼ばれる2月15日で、かつシャヒ・スナーン(王の沐浴)と呼ぶ日に当たり、その日は約2000万人の人が沐浴したと後で聞きました。
こんな関東地方一円の全ての人が、1箇所に集まるようなことは、そもそも物理的に可能なのか、という疑問する湧いてきます。 しかし、それが現実に起こっているのを目の当たりにした訳です。 その光景は、もう人人人でした。
最近BSテレビ放映されて知ったのですが、このクンブメーラという祭典が前々回の2001年に行われた際に、NHKがドキュメンタリー番組を製作していました。 『大沐浴 – 3000万人祈りの日』と言うタイトルです。 先日、再放送がありました。
単に異文化を物珍しく見るだけの視点ではなく、何が人々をそこまで駆り立てるのか、というところまで、引き出している、とても良く構成され、撮影され、編集されたドキュメンタリーでした。
では、なぜそこまで人を沐浴へと駆り立てるのか、という点です。
ある参加者はこう言います。
『個人個人が心の中の神に祈るのだから、何千万人集まろうと関係ないのです。』
この特別な6日間は、神々が永遠性をリチャージする為に、このガンジス川とヤムナー川の合流点に浸かりにくるのだとか。 神々が浸かっている時に、同時にガンジス川に浸かると、神と一体になれる、と信じられているので、これだけの人が殺到するのだそうです。
勿論、普段からガンジス川で沐浴することで、過去生からの悪いカルマを浄化出来るとも言われてきました。 特別な6日間は、さらに神々が一緒に居てくださる、と言うのでその効果が最も高まる、浄化の『効率』の良い日になる訳でした。
目を輝かせながら、神との合一が人生最大の目標だ、と言い切る一般の市井の人々約1億人が、この約2ヶ月間に沐浴に現れます。
何に注意を向けるか。 それで私たちの人生は決まってくることを思い起こさせてくれる出来事です。