メディテーターズ・ハイ

2018.01.04

第94回箱根駅伝

第94回箱根駅伝ゴール(報知新聞)

お正月の最近の楽しみは箱根駅伝です。 今年は青山学院大学の4連覇となりました。

自転車で10分程度の沿道まで行くと、学生ランナーが走る姿を直接見ることが出来るので、その姿を拝むのが楽しみとなりました。

テレビ中継を見ていると引き継ぎ地点でのタスキリレーの様子が映し出されます。 全力を出し切って道路に倒れこむ選手もいれば、平然としている選手もいます。

その様子を見ながら思い出すのが、中学生の頃の長距離走の記憶です。
 

子供の頃の夢が野球選手になることだった当番は、ひたすら白球を追うことしか頭にありませんでした。 中学に進学する時に、小さな頭で初めての人生計画を立てました。 自分は体が小さいし体力もない。 野球で頑張るには、ここはまず体づくりをすることだ。 それにはひたすら走る陸上部で体を鍛え、高校になったらまた野球に戻ろう。 そう考えたのでした。
 

そうして特に足が早いわけでもないのに陸上部に入ってしまいました。 一番身長も伸びる中学時代は、わずか2年程度の差でも3年生の上級生は大人のように見えました。 毎日6時間目の授業の終わりが近づくと、またあの苦しい練習が待っているかと思うと、心臓がドキドキし始めます。

周囲はボールを蹴ったり、ラケットで打ったりと楽しそうなクラブ活動を尻目に、こちらはひたすらダッシュの練習などばかりです。 なんでこんなストイックな部活に入ってしまったのか、とくじけそうになるのでしたが、野球という目標で持ちこたえていました。
 

当番のいた自治体では、中学の陸上競技会に出るには、どんな競技であれ、100メートルで14秒、走高跳1.25m、砲丸投げ9mという基準を突破しないと出場できない決まりでした。 なので、走高跳びと砲丸投げの練習が唯一の息抜きという有様でした。
 

さらに難関は、授業が半日で終わる土曜日の練習でした。 この日は、ロードと言ってマラソンのような一般道を20キロ位走るのでした。 箱根駅伝のほぼ1区間に相当する距離ですが、今の一流大学選手が1時間程度で走るのを、多分2時間以上かかって走っていたと思います。 そんなロードに出ると距離が伸びるに連れて、足がもつれ、息があがり、だんだんと集団から遅れていきます。
 

そんな練習を1年続け、2年生になった頃には、土曜日のロードに出ても、だんだん集団から遅れなくなっている自分を発見して驚いたのでした。 いつの間にか、少しずつ心肺機能が向上し、足の筋肉もついていったのでしょうか。
 

そして、それどころか、長距離を走っていて気持ち良くなっている自分にさらにびっくりでした。 これは一体なんなんだ、という気持ちになったことを覚えています。
以前にこちらの当番日記に書いたこともありますが、ランナーズハイという現象が起こっていたのでしょう。 勿論、当時はまだそんな言葉や現象として知られていなかったので、何が起こっているのかわかりません。 以前のような長距離を走る苦しさから解放され、心地良さの中にいることが嬉しかったことを覚えています。
 

脳今流に言えば、長距離を出来るだけ早く走り続ける、という体にとってはある種の痛みを伴う状況になると、それを緩和するために脳の視床下部からエンドルフィンが出ます。 細かい話は省略しますが、それによってドーパミンが出、それが快感と精神的な高揚感をもたらしてくれる仕組みがわかっています。

エンドルフィンという言葉は、前半の『エンドル』までは”体内から”と言った意味で、後半の『フィン』は”モルフィネ”のフィネです。 このことからも、走ることで脳内モルフィネが出ていたことがわかります。
 

静坐で座っている時にも突然、お腹の底からえも言われぬ嬉しさが込み上げてくることがあります。

これはさしずめ『メディテーターズ・ハイ』とでも呼べるものでしょうか。
 

しかし、『ランナーズハイ』の状態がジョッギングを始めたからと言っていきなり体験できないように、この湧き上がる嬉しさの体験は、静坐をするようになって直ぐには現れないことの方が多いでしょう。
 

ジョッギングも一緒に走ってくれる仲間や家族がいたり、定期的に参加するクラブ等に入っていると継続しやすいように、静坐もお腹の底から湧き上がる喜びとの遭遇には継続が欠かせません。
 
しかし、正しい静坐法を継続することで、人生が確実に変わるあの『メディテーターズ・ハイ』との出会いが待っています。

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