静坐・瞑想でハイになってもいいですか?

2018.04.27

シロダーラアーユルヴェーダの施術にシロダーラと呼ばれる額に液体を垂らすものがあります。

おでこにゆっくりとオイルやミルクなどを垂らしていく施術で、写真を見てもなんだか気持ち良さそうな感じがします。

実際にこれを受けた方の感想として、『いつの間にか寝てしまって気付いたら終わっていて、何だかとってもすっきりした!』という話はよく聞きます。 癖になって、処方するアーユルヴェーダ 医師に『まだシロダーラやってください!』とせがむ人が多いのも事実です。

静坐や瞑想によって考えから離れた状態に入るとはどんな感じですか?という質問を受けると、このシロダーラを体験した方には、『その時に意識がいつの間にか飛んでしまっていた感じに近いです』と説明すると、なんとなく感じが掴めた、と言われる方がいます。

似たような体験を胃の内視鏡検査で感じた方もいるのではないでしょうか。

寝ている間に無痛で胃カメラをやっていただけるクリニックの中には、『プロポフォール』という麻酔薬を使ってやっていただけるところがあります。 個人的に体験しましたが、静脈注射でこの麻酔薬が注入され、気付いたら終わっていて、終了後はバチっと目覚めて、なんだかとっても爽快感があります。

なんだかこの爽快感は癖になりそう、とその時に感じた覚えがあります。
実はこの麻酔薬は、マイケルジャクソンが専属の医師に処方された晩、2009年6月25日に命を落としたことで有名になりました。

透明な瓶に入ったプロポフォールが白い液体なので、マイケルジャクソンは『ミルク』と呼んで、ひどい不眠症に悩まされていた彼が『またミルクが欲しい!』とその晩も医師にせがんでいたことが、主治医の裁判記録から明らかになっています。

また、亡くなった日には、マイケル自身が睡眠薬(ベンゾジアゼビン系)を自ら8錠のんでいたこともわかっています。 大変な不眠に悩んでいたことが想像されるエピソードです。

プロポフォール眠れないというのは色々な原因があるのでしょうが、大のお気に入りだったという『ミルク』がもたらしてくれる、起きた時のなんともスッキリした気分が心の救いになっていた可能性はあるかも知れません。
私たちの一般的な”さが”として、爽快感や酩酊感にはハマります。

その例として米国やカナダで今、猛威をふるい200万人以上の人がかかっているオピオイド系鎮痛剤依存症という現象があります。

その深刻さは、昨年2017年10月26日にトランプ大統領が、鎮痛剤オピオイド依存症患者の増大を国家的不名誉として、公衆衛生の非常事態宣言したほどです。

もともと医療用鎮痛剤として処方されたオピオイド系痛み止めですが、痛みをなくすだけでなく、それを通り越して気持ち良くなってしまう!

そうして、痛みが無くても気持ち良さを求めて、鎮痛剤を飲む人が大量に出てきてしまったのです。

米国は違法なドラッグ天国のような要素が以前からありましたが、こちらは処方される合法的な薬で、いわゆる”ハイ”の酩酊感を味わえてしまうので、病みつきになる人が続出してしまっています。 それに伴う過剰摂取事故も増え続ける始末。

2015年度に約3万人のオピオイド中毒での死者が、わずか1年後の2016年には、42,000人ほどに増加の一途。 全米のオピオイド依存患者のリハビリ施設も14,000箇所にのぼります。

更に両親がオピオイド中毒になって養護施設に保護される子供も増加の一途で、家庭が壊れるだけでなく、地方行政府の財政までも破綻に導きそうな勢い。

それで大統領の非常事態宣言につながっている状況です。
ここでも、『気持ち良くなりたい!』がドライバーになっているように思えてきます。
痛いのは身体だけでなく、心の痛みもある人が多いということを反映しているようにも思えます。

昨年の6月にタイガーウッズが虚ろな目つきで、酒酔い運転で逮捕された時の様子はニュースやユーチューブで拡散しました。

この時も彼はアルコールに酔っていたのではなく、オピオイド系鎮痛剤と、マイケルジャクソンが亡くなった晩にのんでいたベンゾジアゼビン系睡眠薬をとってメロメロになっていました。

元々、腰の痛み止めに飲みだしたオピオイド鎮痛剤の依存症になったのが、きっかけと言われています。

歌手のプリンスも、合成オピオイド系鎮痛剤であるフェンタニルの過剰摂取でちょうど2年前の2016年4月21日に亡くなっています。

何かを忘れたい時の”ヤケ酒”ならぬ、”フェンタニル打ち”が行われています。 フェンタニルの中毒患者は自分で注射器で腕などに打ちます。

観察しているとみるみるうちに目がトロンとしてきて、『もう何もかもどうでもいい』みたいなことを言い出します。 明らかに”ハイ”になって、本当に気持ち良さそうです。

実は静坐や瞑想は、大自然が用意してくれた100%天然の”ハイ”とも言えます。

日常の考えから離れ、純粋な意識だけに漂う時、心の解放区が出現します。 それは病みつきになる魅力に溢れています。

©天空庵

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