アーユルヴェーダとの幸せな出会い

2018.02.23

ブリハスパティ・デーヴウ・トリグナ医師

ブリハスパティ・デーヴウ・トリグナ医師

日本でも少しずつ知名度をあげてきたインドの古代医学であるアーユルヴェーダ。 知識を深められた方の中には、デトックス療法として知られるパンチャカルマと呼ばれる施術を受けに、インドやスリランカに出かける方が増えてきているようです。
 

多くの方はネットを検索して、実際に現地で受けた方の体験談を読んで施術をしてもらうクリニックを探したり、ツアーを斡旋してくれる業者さんに依頼されているのでしょうか。
 

そんな代替医療の一つとして認知されつつある古代インドの医術アーユルヴェーダの世界に、当番が初めて出会ったのは、今から32年ほど前の1985年になります。
 

インドから脈診の大家が来ているので診てもらったら、ということで米国のワシントンDCでその先生と相対したのでした。 当方の脈を取って数秒、やおら鉛筆をとってメモ用紙の上に、小さな丸を3つほど描かれました。 『あなたの右の腎臓にこういう石があります。』と告げられて呆然。
 

その2年ほど前のこと、激痛で病院に駆け込むと、『尿管結石ですね』と診断されました。 その際の超音波検査で、腎臓を見ると右の腎臓に3つの小さな石があり、『経過観察しましょう』とドクターに言われた状態で生活していた頃でした。
 

これは当番にとって、衝撃的なアーユルヴェーダ・デビューでした。
 

ワシントンDCという土地柄もあり噂を聞きつけたある上院議員が、その先生の脈診を受けに来ていました。 脈を取ると、『奥さんに隠れて浮気していますね』と開口一番に言われ、その議員の顔がみるみる赤く染まっていったとか。
 

この先生の脈診の凄さを示すエピソードには事欠かず、ある女性は脈診の最後に、『直ぐに、義理のお父さんに電話しなさい』と言われ愕然としたそうです。 それは本人しかわからない心のわだかまりのある人間関係であり、それをバックグランドを何も知らない、ただ脈をみただけの医師からズバッと突かれたことに驚き、かつ体調不良の真の原因を指摘されたことでした。
 

その脈診の大家は、ブリハスパティ・デーヴァ・トリグナ先生という方でインド国家元首の大統領の主治医を務めたこともあるそうです。 首都デリー市内にクリニックを持ち、連日朝から患者さんが列をなす方でした。 当番は幸運にも、それから毎年1回のペースで脈診していただくことが5〜6年間続きました。
 

後年、デリーのクリニックを訪問したことがありますが、朝の9時頃に到着した時点で60人ほど待ちの状態でした。 最後にそのクリニックを訪問したのが5年ほど前でしたが、トリグナ先生の息子さんが脈診をしてくれましたが、その3日後に先生は92歳でお亡くなりになりました。
 

もし、訪問してみたい方は、デリー市内にあるニザムディーン駅の東口から南に500メートル位行くとそのクリニックはあります。 タクシーで行く方は、『ニザムディーン駅近くの”Triguneshwar Mahadev Mandir”へ行ってくれ』、と言えば連れて行ってもらえるはずです。 因みに、このニザムディーン駅は、タージマハール観光に特急列車で行く際の出発駅でもあります。
 

そんな衝撃的な出会いがあったので、アーユルヴェーダについてもっと知りたい、と思ったものの当時はアーユルヴェーダの一般向けの本は、知る限り日本では一冊も出ていませんでした。 米国でもヴァサント・ラッド先生という方の解説本が1冊出版されていただけの状態でした。
 

日本ではアーユルヴェーダ・イコール脈診というイメージを持たれている方も多いかも知れませんが、インドでは脈診を使わず、問診と望診を基本とするアーユルヴェーダ 医師(ヴァイジャ)も多くいます。
 

そもそも古代からの3大テキストに脈診は登場しませんし、インドで脈診が行われるようになったのは13世紀からだと言われています。
 

当時インド北部に侵入してきたイスラム教徒の軍団が、従軍医にベルシャ(ほぼ今のイラン)の医師を同行したことに起源を発すると言われています。
 

その時代のイスラム圏では今よりさらに厳格に女性はチャドルと呼ばれる、顔を含めて全身を布で覆っていたので、医師が患者の様子から診断する『望診』が出来ません。 そこで女性も手だけは出すことが許されていたので、脈によって診断する技術がペルシャでは発達していた、というわけです。

チャドル

これは『ユナニ医学』として知られているものですが、脈診がインドで登場するのも13世紀以降の文献からだそうです。
 

この脈診はそれを極めるのは、至難の技であろうことは想像に難くありません。 実際、生まれつきのその人の体質で生涯変わらないとされる『プラクリティ』の診断において、当番自身はトリグナ先生の後に10名ほどのアーユルヴェーダ専門医の方に脈診していただきましたが、トリグナ先生と同じ判定をした方は一人もいらっしゃいませんでした。
 

今も手元に脈診していただいた際に渡されたA4、1ページの診断結果の記録が5枚ほどありますが、ものの見事に5回とも同じプラクリティ をトリグナ先生は判定されていました。 毎日200人近く、ほぼ毎日診察されているので当方のことなど1年後に覚えているはずもありません。 因みにプラクリティ は、ヴァータ、ピッタ、カパとその組合せで7種類で診断されていました。 
 

アーユルヴェーダ と言うと直ぐに、ヴァータ、ピッタ、カパのドーシャと呼ばれる分類の話が登場しますが、インドのクリニックに10年前から毎年通い始めるようになって、まず気づいたことは、ドーシャが毎日の診察で全くと言ってよいほどに登場しないことでした。 疑問を代々アーユルヴェーダ 医の家系の医師にぶつけると、なぜそう言うドーシャの分析を患者に言わないのか、と言う積極的な理由を述べられて納得しました。
 

ヴァータのアンバランスがあるとか、あなたの体質は何々だ、と言ってしまうと、患者さんは自分で判断してそれを解消しようとする食事をとったり、ハーブをとったりしてしまう。 しかし、そのようなアンバランスの状態は変化していくので、かえってアンバランスを増長させるようにしてしまうことがあるからです、と言われて納得したことがあります。
 

よく、ドーシャ自己診断表というのが本や雑誌のアーユルヴェーダ 特集には登場し、質問に答えていくことによって、点数を合計してあなたのドーシャはこれですよ、と判定するのがありますが、前述の理由でお勧めできないですね、と言われました。
 

そう言えば、先ほどのトリグナ先生の診断であなたの今のアンバランスは、ヴァータ・カパですよ、と言われた後に、別のアーユルヴェーダ 医師の方に脈診してもらうことが多かったのですが、いつも別のドーシャ・アンバランスを指摘されていました。
 

かように、アーユルヴェーダ 専門医と言われる先生方の間でも判定の個人差があるので、質問判定表を使った自己診断に基づいて、食べ物やハーブ類をとるのは、間違いを起こしやすいのかも知れません。
 

なお、インドでアーユルヴェーダ 医師と名乗るには、5年半の医学大学を卒業して『アーユルヴェーダ 医療・外科学位』(BAMS…Bachelor of Ayurvedic Medicine and Surgery)という学位が必要です。 さらに博士号までとると、”MD.(Ayurveda)”と言った称号になってきます。 しかし、近年のインド国内ではBAMSを取得した卒業生の数が増え過ぎ、就職先の数とのアンマッチが大きな問題となっている現実があります。
 

日本人の方でもインドの大学でBAMSを所得する方が少しずつではありますが、登場してきているのは、頼もしい限りです。 しかしながら、日本の医師資格を持っていらっしゃる方で、BAMSも所得した方は、当番の知る限りまだいらっしゃらないようです。 
 

そんなアーユルヴェーダとの出会いがあり、その翌年の1986年に初めてパンチャカルマなる施術を受けることになりました。 オイルを使ったマッサージや、額にオイルを垂らす施術のことは聞いていましたが、いきなり初日から『浣腸療法』なる施術があって驚きました。
 
シロダーラ
 
当時は、航空機を使う必要のある遠距離への出張が毎週ごとにある生活で、そういう状態が20年以上続きました。 当然、外食も多くなり、身体のバランスを崩しやすい生活の最たるものでした。 そのパンチャカルマなる施術は、せめてものバランス回復の手段として自分には欠かせないものになっていきました。
 

1回平均して5日間の施術を受けることが年中行事化していきました。 短い時は、3日間、長い時は1週間の施術を受けることが、自分の毎年の定例健康診断になっていきました。
 

ところが、10年前にインドでのパンチャカルマの施術を初体験し、それまで受けていたものとの違いに愕然とすることになります。
 

まず、21日間の施術が標準だと言われて驚いている始末です。実際、7日間受けたいのですが、と最初に申し込んだ時には、その期間では何も出来ないので受け入れ出来ません、と断られてしまいました。 最低でも15日間からと言われ、普通のお勤めをしている人には、とても不可能な日程です。 それまでのような5日間の施術は、ウオームアップに過ぎない、と。  確かに外科手術をする訳ではないので、身体を内側からキレイにすることは、成る程時間のかかることなのだ、と次第に納得していきました。
 

それから毎年インドに通うことになり、これまで10回ほど、インド各地のクリニックでパンチャカルマの施術を受けてきました。 1年に2回受けたこともありました。 北インドでは3施設、南インドのアンドラプラデシュ州で1施設、同ケララ州で2施設。 ケララ州では、アシュタヴァイジャと呼ばれる医師のいる施設を2か所体験させてもらいました。 
 

幸いにも今のところ、これと言った不調はないので、これほど頻繁にパンチャカルマの施術を受ける必要はないと思っています。 それでも、行くたびに新しい発見があるので、自分の勉強の為に通っているようなところがあります。
 

4年前には、主にケララ州で定評のあるクリニック、リゾート系のアーユルヴェーダ施設など20箇所ほどをピックアップし、それらをくまなく訪問して中の実態を調べるツアーをしたことがあります。 事前にアポイントを取り、ドクターとの面会、施設の説明などを受けながら、それらの施設を見て回りました。
 

それらを通して、施術を受けるのに良いクリニックの見分け方も自分なりにわかってきたつもりです。 それはまた別の機会に書いてみたいと思います。
 

トリグナ先生との出会いから始まり、過去32年間に渡ってお世話になったアーユルヴェーダですが、どんなメリットがあるのか、その感想を次回に綴ることにします。
 
©天空庵

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