メガクライシス:2つの巨大地震

2017.11.14

日本付近の4枚のプレートのぶつかり合い

作図By小山真人教授(静岡大学)

地球には15枚程度のプレートというのがあって、ゆっくり動いている。 日本はそのうちなんと4つのプレートがぶつかりあう場所にある。こんな場所、地球上どこにもない。 それにプラスして多くの活断層。 地震列島日本。
 
四国沖でフィリピンプレートというのが、毎年数センチずつ南側から沈みこんでいて、これが世に言う南海トラフ地震の震源だとか。
 
マグニチュード8〜9クラスの南海トラフ巨大地震は、30年以内に起こる確率は70%程度と発表されている。 少し細かく見ると、飛鳥時代からの過去1400年間で規則的に、平均88年に1回、四国沖のプレートの沈み込みに起因する巨大地震が起きている。
 
そして、それが前回起こったのは71年前。 88年に1回は平均値だから、実際の発生タイミングは前後する。 プレートの動きが早まっていたりすると、もういつ起こってもおかしくないことがわかる。 メガクライシスその1。
 
もう一つのメガクライシス。 それが今回のテーマ。
 
生活の基盤には経済がある。 収入がないと生活していけない、と思う心が経済。 そんな話題を得意としているマスコミ媒体の一つが、日本経済新聞。
 
その本日の一面トップは、『マネー膨張・踊らぬ経済』ときた。
 
『マネー膨張』と言う言葉を聞いてもそれを感覚的にある種の”痛み”として捉える人は、今の日本で多数派なのか少数派なのか。 そのまねー膨張をもたらしているのが、『量的緩和』に他ならない。

世界のマネーは2008年以降GDPを上回って膨張中

日本経済新聞が世界銀行の統計を基に作成

年収500万円の世帯が、1000万円の生活を過去40年近くに渡って毎年続けてきたのが、日本という国の実態だとは、こちらの当番日記でつづってきた。 『そんなのありえない!』、という真っ当な感覚する麻痺してしまったかのように、そんな”生活”が続いている。
 
これを国になぞらえると50兆円の税収しかないのに、100兆円使ってる運営が50年続いて、借金1000兆円。 税収の1割の5兆円を借金返済に充てたとしても、200年かかる。 こんな借金は個人だったら、どんな銀行からもできっこない。
 
そもそもどうしてこんなに国の借金が膨張してしまったのだろう。
 
国の支出は役所が提案し、国会が承認して決まっていく。 提案する立場の役所は、使える予算に比例して、その影響力が増す。 だから、予算を出来るだけ使おう、とするほうにどうしても力が働いてしまう。
 
その結果、補助金などがどんどん増える。 それは受益者にとってもありがたいので、誰も止める人はいない。 こういうのを機械などの世界では正のフィードバックと言って、破壊へとまっしぐらに進む。
 
政府や行政は、直接的には何も富を産み出さない。 国民が産み出した富を税金の形で徴取し、分配する。
 
表現は悪いが、寄生植物が、どんどん巨大化している時、寄生されている植物も、どんどん大きくならないと遅かれ早かれ共倒れ。 日本国という植物が、高度成長期のようにどんどん富を生み出して大きくなっていればよいが、実態は”貯金取り崩し”社会になっていないか。
 
『政治をする人は子供のいる人にしないと駄目だわ』と言った人がいた。 決して子供のいない人への差別発言ではなく、それは今行われている『ツケの子供払い』に対する理屈抜きの実感を持たないことには、どうにもならない事態の切迫感を言い表している。
 
お金には3つの色があるという。 『富』を生み出して得た黒いお金。 もう一つは、誰かの貯めたお金を借りた赤い色のお金。 残りの一つは、将来世代がこれから産み出す富を前借りしたお金。 この3つ目のお金は涙色。
 
おじいちゃんの肩車それは、孫がおじいちゃんを肩車する倒錯した世界だ!

これまでの40年間、国の借金の膨張を、マネーの膨張で辻褄合わせしてきた。 しかし、それはいつか”返済”する形で決着をつけるしかない。 これが2つ目の巨大地震となるメガクライシス。
 
膨張させたマネーを元に戻していく過程は、『出口戦略』と呼ばれ、テレビのニュースでも登場するが、それを聞いても何のことかピンとこない。
 
今日の日経新聞の1面記事は、『”この先”への想像力をたくましくし、処方箋を探っていく。』で締めくくられた。
 
どうこの先を想像したらよいのだろう。 以前のこちらの当番日記で書いたような結末しかありえない、とも言えるかも知れない。
 
それが不可避であるならば、その処方箋や如何に。
 
ご興味のある方は、是非何が出来るか話し合いましょう。

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