アーユルヴェーダのパンチャカルマ施設を選ぶポイント

2018.02.23

オイルダーラ
美と健康を願うのは、古今東西、昔からの人々の願いでしょう。

日本でもインド発のアーユルヴェーダが一部の方に注目を浴びているのは、有効なアプローチとしての予感を感じる方が多いからだろうと思います。

アーユルヴェーダでは、消化力を高めることを重要視しますが、消化力が高い人は良い香りがする、と言う話があります。

歴史上、古代中国の玄宗皇帝の妃で、絶世の美女の誉れ高い楊貴妃は、数メートル離れたところからも良い香りがしてきたのだとか。 勿論、香水を使っての香りでなく、本人からその香りが発せられていたのだそうで、これから高い消化力の持ち主だったことが伺えます。
そんな可能性を秘めたアーユルヴェーダ的な美と健康へのアプローチですが、日本国内で受けられる施術からさらにステップアップを希望される方もいらっしゃいます。 それを反映してか、時々知り合いの方々から、パンチャカルマの本格的な施術を受けてみたいので、適当な施設のお勧めがありませんか?という問い合わせをいただきます。

当方は専門家ではありませんが、自分の経験した範囲内で知っていることをお話しさせてもらってきました。

改善したい深刻な症状があるのか? 心身共に疲れているので、深い癒しの体験を求めているのか? しっかりとデトックスをしたいのか? パンチャカルマの施術がどんなものか、一度は体験してみたいのか? 設備的な基準の許容範囲はどの程度か?

その方の達成したいことをお聞きしてから、医療クリニック系かリゾートホテル併設系か等、お勧めを絞り込んでいくことになります。

深刻な症状をお持ちの方は、当然医療機関に相談された上で、代替の選択肢としてアーユルヴェーダ の施術を検討されるものと思いますが、良い施設というものの基準として、当番のこれまでの経験から次の5つのポイントを挙げておきたいと思います。

1.準備施術(プールヴァ・カルマ)のメニューが豊富なこと

シロダーラ

シロダーラ

アーユルヴェーダ のイメージとしてオイルマッサージと額にオイルが垂れる施術の写真をあちこちで見た方も多いことでしょう。

しかし、それらは何十とある施術のほんの一部にすぎず、3週間の本格的な施術を受けても1回もオイルマッサージ(アビヤンガ)も無ければ、額に液体を垂らす施術が1度も無い、ということも珍しくありません。

驚かれる方もいるかも知れませんが、現実です。
プールヴァ・カルマと呼ばれる準備の為の施術は主に、潤滑的にオイルを使うスネハ系と呼ばれる種類と、発汗させるように温めるスエダ系があります。

例えば動脈に血栓があったとして、これをカテーテルなどを使わずに、非外科的、非侵襲的に取り除こうとするにはどういう手段があるでしょうか? 血栓の周囲をオイルで滑らかにしてやり、外から温めて血管を拡張してあげると、取れ易くなるイメージが湧きませんか。

これがスネハ系のオイルを使った施術とスエダ系の温める施術の2系統のアプローチになります。 その他、体力が落ちている人には、滋養を与える系の施術が実施されることもあります。 また、まずは乾燥させたほうが良いと医師が判断すると、乾燥系の施術が最初に施されることもあります。

ですから、この施設が良さそうだと思ってホームページなどをチェックされる際には、そこが提供している施術が豊富かどうかを確かめてみて下さい。 真剣に医療としてのアーユルヴェーダ に取組んでいる施設ほど、メニューは豊富です。

また、アビヤンガというオイルマッサージ一つとっても、その為のオイルは実に200種類以上あります。 例えば肝炎を患っている人には、このアビヤンガオイル、と言った具体で、固有の薬草が煎じて作られています。 これもきちんと医療としての施設では、これほど沢山の種類のオイルを使い分けています。

ネトラ・タルパナ

ネトラ・タルパナという目をギーの海で泳がせる施術

その他、目の周りに豆の粉で土手を作り、薬草の入ったギー(無塩バターを精製したもの)を入れて目に滋養を与える『ネトラ・タルパナ』という施術がありますが、この治療に使うギーだけでもきちんとした施設では、40種類を使いわけます。

有名なシロダーラという額に液体を垂らす施術があります。 これもオイルを使うと決まっている訳ではありません。 オイル以外にも、脱脂ヨーグルト系(タッカラ・ダーラ)、ミルク系(シーラ・ダーラ)、煎じ薬系(カシャヤ・ダーラ)があり、それぞれがまた投入する薬草の種類などで何種類にも別れていきます。

ですから、シロダーラやります、とうたっている施設で、液体は何を使ったものですか?と聞いてみるのは良い質問です。 もし、オイルだけです、という回答でしたら、インド国内の場合では、観光客相手の施設だと思われるでしょう。 医療としてのアーユルヴェーダを標榜している施設ですと、オイルのシロダーラだけしか提供しない、というのはあり得ないことだからです。

そしてフィニッシュは、体内で動き易くした毒素(アーマ)とでも言うものを体外に出していく、排泄施術(プラダナ・カルマ)になっていきます。 これが5種類あるので、パンチャ(5)カルマ(施術)と呼ばれる所以です。

最も多く使われるのは、ヴァスティと呼ばれる浣腸施術及び、ナスイヤと呼ばれる鼻腔・咽喉からの排出施術です。 その他に、人によってヴィレチャナと呼ばれるギーや薬草を使って下剤をかける施術も行われることがあります。

稀にヒルを使って足の血で吸い出す施術もあり、当番自身はありませんが、一緒に滞在している人が受けていることは何度かありました。 最も稀なのは、嘔吐を誘発させる施術で、本格的な施設でしか行われていない現状です。

2.薬草力の高いこと:

薬草を煎じる

まずは施術のメニューが豊富なことが重要だとしましたが、その施術では様々な薬草や木の皮などを使って、使用する液体系や固形性のものがその都度、準備されます。 従って、それらの薬草がないと施術の準備が出来ないことになります。 ここで薬草準備力が試されます。

古代テキストで指定された薬草を48時間ほど煮出して本来作るオイルを、市販の煮出していないオイルで代替して施術を行うところもあります。 施術を受ける側もそう言うところでショートカットが行われていても、それに気づくことは不可能でしょう。 一方で、製薬会社から買わずに自分のところで薬草を集め、それらを真面目に作って施術に使っているところもあります。

本当の医療系のアーユルヴェーダ施設は、そういうところで一切手を抜きません。 世の中には、リゾートホテルに併設されたアーユルヴェーダ施設も沢山あります。 設備も良く部屋も快適ですし、施術をするテクニシャンも上手です。 しかし、こう言う薬草を使うところで見えない大きな差がついています。
また、この薬草力の差は、施術期間中に服用するハーブ薬類でも現れてきます。

きちんとした医療系のアーユルヴェーダクリニックですと、その人の症状に合わせたハーブ系の薬が何種類か処方されて、1日に数回服用することになります。 古代テキストに作り方が記載されている薬草だけでも4000種類ほどあると言われています。 それにプラスして、近代に作られた『ハイブリッド的』な薬が約2000種類もあります。

特に朝の日の出前の約1時間半の時間帯は、薬を服用するゴールデンタイムであり、この時間に服用すると全身に薬効が広がる、とされています。 それできちんとしたクリニックでは、夜明け前にテクニシャンが各部屋に回ってきて、その朝一番の煎じ薬を作りにきてくれます。 煎じ薬を指定された分量の白湯で割って飲ませてくれます。

かように、施術をするにも、施術を受ける為の滞在期間中でも、しっかりと古代テキストにあるように治療しようとするには、大変な薬草力がないと出来ません。

機械物で設計者がこの部品の調整には、ネジを101回廻しなさい、と指示書に書いてあった時に、それを50回に省略したらどうなるか。 それは書いてありません。 アーユルヴェーダの古代テキストも同じです。 薬には、101回煮詰めて作る薬などもあります。 煮詰めるのを50回にしたら、効能はなくなるのか、少しは残るのか書いてありません。 それで愚直に101回煮詰めることを本物のクリニックは実行しています。

一方、世の中にはアーユルヴェーダ的薬草成分の配合を標榜した化粧品や歯磨き粉などが市場に沢山並ぶようになりました。 しかしながらそれらを作る為の薬草が大変な品不足に陥っている現状があります。 真面目にアーユルヴェーダの薬を古代のテキスト通りに作ろうとしているクリニックや、製薬会社は原材料が全て手に入らない、と言う大変な試練にあります。

例えばラスナディ粉、と言うパンチャカルマの施術の後に頭頂などに付けてくれる粉があります。 ただの粉のようですが、23種類もの生薬が含まれています。 そのうち1種類が手に入らない時、とりあえず作ってしまうのか、いつ手に入るかわからないが、全て揃うまで待つか、そんなジレンマが現場にはあるそうです。

話は飛ぶようですが、江戸幕府の八代将軍吉宗(1716~1745)は、銀の国外流失をくい止めようと中国(明の国)との貿易を中止しました。 それで困ったのが、中国からの輸入に頼っていた薬草が手に入らなくなり、漢方薬が作れなくなったことでした。 そこで江戸の中で薬草を栽培しようとして作ったものの一つが小石川薬園(今の小石川植物園)です。

その敷地に作られたのが、赤ひげ先生の診療所である小石川養生所でした。 今でも園内を歩くとその当時の井戸がそのまま残っています。 赤ひげ先生も、薬草あっての名医だったのかも知れません。

また日本からは、スリランカにパンチャカルマに行かれる方も多いようです。 日本語で斡旋してくれる業者さんがいることも、その敷居を低くしてくれているのかも知れません。スリランカには、島の南部にシンハラジャと言う熱帯雨林がありアーユルヴェーダ の薬草の宝庫とも言われますが、如何せん21km x 7kmと広さに限界があります。

当番が色々自分で出来る範囲で足で歩いてみてきた中で、最終的にケララ州に目をつけたのは、やはりその薬草力を買ってのことでした。 州の東側に生物多様性で定評のある西ガーツ山脈が広がり、州中部のトリシュールと言う町が薬草の集積地にもなっていることも、薬草が手に入りにくいご時世には重要なポイントです。

インドでアーユルヴェーダ の薬を作る製薬会社は、1400社ほどありますが、その多くがケララ州を拠点にしていることからも、そのことが窺えるかと思います。

薬草を自前で栽培するクリニック

薬草を自前で栽培するクリニック

具体的に施術を受けるクリニックを選ばれる場合、古典的なアーユルヴェーダの薬を品揃え多く作っている会社の運営する施設は、ハズレが少ないと思います。 それらの会社を挙げますと;

Arya Vaidya Sala:

Vaidya Ratnam Nursing Home:

Nagarjuna Ayurveda:

その他、アーユルヴェーダ医科大学の付属病院も古典的な施術が期待出来る可能性が高くなります。一例を挙げるとまだ設立2年目では、ありますが、古代の施術を忠実に再現しようとしている次のような施設もあります。

Ashtamgam Ayurveda:

リゾート系施設

ケララ州にはリゾート系施設も豊富

またケララ州には、州政府が認定するアーユルヴェーダ施設の2段階の認証制度があり、そこで”Green Leaf”や”Olive Leaf”という認定を受けているとことも、一般的に粒が揃っていると言えます。

そのリストは、こちらをクリックし、ケララ州の14の地区のリストがあるので、自分の行きたい地域を選ぶと個別の施設のリストになります。

ケララ州南部の海岸沿いのリゾート系は、下から三番目の”Thiruvanantapuram”という地区を開いてください。 ガイドブックにも良く出るような施設が集まっています。 薬草の集積地に近いのは、下から二番目の”Thrissur”という地区になります。

3.医師力の高いこと

これは当然と言えましょうが、準備の施術のメニューが豊富で、使えるハーブ薬の種類が豊富であっても、それを判断して使いこなす医師の技術力あってのことです。 こちらのアーユルヴェーダとの出会いの当番日記で、インドのアーユルヴェーダ医制度を簡単に記述しました。

そこにも書きましたが、5年半の医学大学を卒業すれば、アーユルヴェーダ医師になれますが、それは最低限の資格ではあり、患者さんも経験と家系(インドではこれが重要)のある医師に頼ろうとします。

その点インドには、ジャーティと呼ばれるその家ごとの特定の職業を代々継ぐ伝統があります。 アーユルヴェーダ 医師の家系では、親から子へと代々そのノウハウが伝承されます。 時には傑出した知見と認識力を持った祖先が、新しい薬を発見し、それが代々その家にだけ伝えられていることも珍しくありません。

ですから、同じBAMS(Bachelor of Ayurvedic Medicine and Surgery)と称されるアーユルヴェーダ 医師の資格があっても、代々その家系で営まれているクリニックには、多くの経験知が積み上がっていると地元では思われています。

4.テクニシャンの質が高いこと

インドは看護師の数が200万人を超え世界一です。 そのインドで西洋医学の病院の看護師さんは、大半がケララ州出身と言う事実があります。

ケララ州は州政府をあげてアーユルヴェーダに力を入れているだけでなく、西洋医学の分野でも医療スタッフの重要な供給拠点になっていることがわかります。

アビヤンガ

さて、パンチャカルマの施設で実際に施術を受けた方が、その印象を最も左右するのはテクニシャンの技量ではないでしょうか。 何しろ、直接体に触れて施術をされる訳ですから、受ける側はテクニシャンの状態が手にとるように感じられたりします。

インドでは、概ね3ヶ月、6ヶ月、1年間などの職業訓練校でアーユルヴェーダ・テクニシャンが養成されています。 最低限の理論と施術の手技は、学校で学んできているはずです。

後はその施設の採用決定権者の人間洞察力にかかってくることかと思います。 何しろ、シロダーラという額に何らかの液体を垂らす施術でも、テクニシャンの性格のようなものまでビンビンこちらに伝わってきたりします。 本気で施術をしているかどうか、気が散っていないか、職業意識や大げさに聞こえるかも知れませんが、人間性まで現れます。

この点は、リゾート系のアーユルヴェーダ施設はテクニシャンの粒が揃っていると感じることが多いです。 やはり報酬が一般にクリニック系より高いこともあって、採用候補の選択肢が多いのかも知れません。

また、医療系のクリニックの場合、そこに働いている職員がハッピーがどうか、ということでテクニシャンの施術の質に反映されていることが多いです。

なお、余談ですが、アビヤンガというオイルを使ったマッサージですが、インドで受けると『随分とゴシゴシやられる感じがする』という方がいらっしゃいます。 日本ではソフト系のアビヤンガを受けられていたので、面食らったのかも知れません。

医療としてのアビヤンガは、ゴシゴシ系が一般です。 先ほどのテクニシャン養成校では、リゾート系の施設に就職する為のアビヤンガがカリキュラムに入っているところもあり、そこではソフト系のアビヤンガを教えるそうです。

リゾートホテルでパンチャカルマを受ける人は、そもそも医療としての施術というよりも、癒されたい、深いリラックスを求めて来られる方が大半なので、それに応えるアビヤンガを提供する、という訳です。

人はゆっくりと撫ぜるように触ってもらうと信頼と愛情のホルモン、オキシトシンが大量に出ることがわかっています。 ソフトなオイルマッサージを嫌がる人がいるとは思えません。 しかし、スネハ施術としてのアビヤンガでは、ある程度の圧をかけて行われることになります。

5.周辺の環境が良いこと

これまであげた4つの条件を全て高得点でクリアーする施設はいくつもありますが、それがインドのあの喧騒の町中にあったとすると、それで失速してしまいます。

パンチャカルマをより効果的に受けるには、心身のリラックスは欠かせません。 朝晩の軽い散歩に施設を少し出ると、あのインド特有のクラクション満載の道路が待ち構えているようですと、急速に毛穴が塞がってしまうかのようです。

やはり、ある程度の自然環境がある所を選ばれると良いと思います。
それと買い物等の外出を禁止するクリニックもあるほどで、身体の中では大掃除が起こっています。 それなりの費用と長い休みをわざわざとってトリートメントを受けに来ている訳ですから、意識もしっかりと内側に向けておくことが重要です。

親が注意をしっかりと自分に向けていない、とわかると子供はグレます。 同じように体も大事な時に注意と意識をしっかり向けておかないと反乱を起こします。 ここで列挙した1〜5の良い環境や条件は、あくまで外的な要因です。 最終的なアーユルヴェーダ施術の成功は、本人がいかに意識を身体の中に向け続けていられたかにかかっています。

なお、2019年11月にケララ州のお勧めクリニックでの施術を受ける現地集合のツアーを企画しています。 これまで参加された方からは、ここは人生のヴァケーションが出来る場所だ、とご好評をいただいています。 残り2室となっています。 ご興味のある方は、infoアットマークtenkooann.comにご一報ください。

©天空庵”禁無断転載”

HOME

サイト人気ランキング(月間)

  1. 30代続くジョーティッシュ占星術相談会
  2. 9月16日(敬老の日)ジョーティッシュとヴァスツのワークショップ開催します
  3. 開催日カレンダー
  4. ケララでのパンチャカルマ
  5. アーユルヴェーダのパンチャカルマ施設を選ぶポイント
  6. 参加方法・費用
  7. コンセプト
  8. 30代続くインド占星術(ジョーテュッシュ鑑定)相談会
  9. お問い合わせ
  10. 当番からのご挨拶